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ビックバーンコースター  那須ハイランドパーク
■概要
coasterpic
スリル とにかくファーストドロップの迫力が抜群。大きな垂直ループもなかなか。
爽快感 大キャメルバックが爽快。
ダメージ 直線コースがほとんどを占めるため、不快な挙動はあまりない。古いコースターのためか、振動は若干ある。

タイプ: ループコースター
オープン: 1987
製造元: サノヤス・ヒシノ明昌 / 岡本製作所

長さ: 650 m
高さ: 38.4 m
落差: ? m
宙返り: 1回
最高速度: 88 km/h
落下角度: 75度
乗車時間: ?

小型のループコースター。急角度のファーストドロップを下って、ひとつ大きな山を越え、ループを回ったらほぼ終了、というコースレイアウト。それだけ見れば、「たったこれだけ!?」と感じてしまう。特に高くもなければ速くもなく、あっという間に終わってしまう。ところが、実はこのコースターは、ここ那須ハイNo1の絶叫コースターなのだ。その凄さは、最後尾に乗車して初めて初めて解る。しかし、絶叫はできない。声にならない、のだ。凄まじい加速と共にほぼ垂直と言える角度を落下する瞬間、まるで地面に叩き付けられるような感覚を覚える。あまりの凄さに絶句する。この感覚は日本、いや世界でも二つとないだろう。


■ レポート (2005/8/16乗車)

那須ハイ全体に言えることだが、はっきり言ってチープな前世代の「遊園地」という雰囲気が漂っている。それは、ネーミングや色使いなどにも現れていて、このビックバーンコースターも例外ではない。(モノによっては、ちょっと見るに忍びない程のレベルだったりする・・・)


プラットフォーム。今時このロゴデザインはいくらなんでもなぁ・・・・。

さて、ビックバーンコースター。初めてその存在を知ったのは、僕が小学生の時だっただろうか。当時、地元栃木に新しい遊園地ができたと話題になっていた。それが那須ハイランドパーク。遊びに行った弟達が言うには、一つだけ「ものすごく怖いジェットコースター」があったという。今にして思えば、それがビックバーンコースター。当時コースターに興味がなかった僕は、わざわざ怖い思いをするなんて、理解できないと思った。

そんなこんなでビックバーンコースターに初めて乗ったのはいい大人になってから。それも、各地の巨大コースターを乗り歩いた後。噂ではとにかく怖いということを聞いていたので、サンドル恐怖症を克服する最後のメニューとして取っておいたのだ(笑)。

実際に目の前に立ってみると、とても小さなコースターだな、というのが印象。サンドルやらフジヤマやら巨大コースターになれてしまうと、ガッカリするほどの小ささである。しかし、ファーストドロップは確かに急角度。この75度を越えるファーストドロップは、一般的な形のコースターとしては日本一を誇る。


青いのがビックバーンコースター。ここ那須ハイでは、4つものコースターが狭い敷地に絡み合っている。

待ち行列に並んでいると轟音と共にライドが走り去っていく。いかにも旧型のコースターという感じの轟音だ。(たまたまお盆休みだったため結構な人数が並んでいたが、普段の週末程度ならほとんど待たずに乗れるのでは無いだろうか。)座席を指定され、ライドに乗り込む。座席は低く、足を伸ばすスペースが極端に小さい。大柄な人だとかなりきついだろう。U字ハーネスを下ろすと、ますます窮屈になる。

さて巻き上げだが、これが極端に「トロい」!!コースがあまりにも短いため、巻き上げで時間稼ぎをしているんじゃないかと疑ってしまうほど、巻き上げに時間がかかる。これは待っている人にとってはうんざりだが、しかし乗っている人に取ってはなかなかいいかもしれない。この遊園地は那須高原の山腹にあるため、巻き上げ時の眺めが非常にいいのだ。見渡す限りの樹海が広がっている。さらに反対側にはこれから落下する凄まじい角度のファーストドロップがよく見える。この時間を使って、心の準備をしよう。


これからあのドロップを落ちるのか・・・とドキドキ。


那須の絶景!

頂上に着くとライドはゆっくり180度旋回する。ここでライドは徐々に加速する。それは最後尾ほど強く感じられる。目の前にレールは見えない。あまりに急角度なため、坂を下るのではなく、崖から落下するような感じだ。そして、加速しつつ恐怖のファーストドロップに突入。


まさに垂直!

目の前のライドが次々に視界から消える。あっ、と思った瞬間、凄まじい力で地面に向かって引きずられる。あまりの迫力に声も出ない。うぐっ、とか声を漏らすのがいいところ。それまで穏やかに流れていた風景が、一瞬にして引き裂かれ捻じ曲げられたように見えなくなる。あまりの加速に視神経が追いつかない。そのまま地面ぎりぎりまで落下、そして間髪入れず強烈なGがかかる。古いコースターのためか結構な振動があり、木製コースターのような迫力を感じる。


地面に向かってたたきつけられるかのよう。

そして大きなキャメルバックへ突入。てっぺんではGから開放され、それまでの強烈なGとの差が気持いい。キャメルバックを超えると垂直ループに突入。再度Gがかかる。回転半径が大きいため、なかなかキモチイイ垂直ループだ。


キャメルバックを越えたところ。


轟音を共に垂直ループ。待ち行列のすぐ横にあるため、乗車待ちの間皆このループを眺めている。

垂直ループを回りきると、軽い坂を登ってから180度ターン。あとは下りつつブレーキがかかり、駅舎へ滑り込んで終了。いやー、凄い。ただし、乗るなら、必ず最後尾。最後尾とそれ以外では、迫力に雲泥の差があるから・・・。

■ ファーストドロップに関する考察 2005/8/16

コースターのスリルだけをぎゅっと詰め込んだような、ビックバーンコースター。こんな短いコースにも関わらず、満足感はかなりのものだ。ファーストドロップから大キャメルバック、垂直ループという流れは何度乗っても絶叫してしまう。その中でも、やはりファーストドロップだけは別格だ。角度が急というだけなら、LaQuaのサンダードルフィンもなかなかのもの。しかし、乗車感覚は全くの別物。ビックバーンコースターだけでしか味わえないドロップの感覚は、どういった理由で生まれるのだろうか?

ポイントはおそらく3つある。一つは、加速しながらの落下。最高部で加速しつつドロップに突入するため落下時のスピードが早く、ドロップの高さ以上に迫力を感じるのだろう。対してサンドルは頂上に加速できる長さがないため、極めてゆっくりとした速度から落下が始まる。そのため、ふわ〜〜っとした落下感が得られる。

二つ目は、コースの角度変化の急さ。76度もの角度になって落下するわけだが、この角度変化があまりに急なのだ。コース自体の高さがないため、この角度変化をゆっくり取ることができず、無理やりと言えるような急激な角度変化をするようになっている。これにポイント1の速度が合わさることで、重力加速度を越える「落下加速度」が発生していると考えられる。重力に従って自然落下をするのがサンドルやフリーフォールだとすると、重力を越える加速度で「強制落下」させるのがビックバーンコースターなのだ。そのため、体はシートの背もたれに押し付けられ、まるで車体に引きずりこまれ、地面に叩き付けられるような感覚を感じる。どんなコースターでも最後尾では近い現象が起きるが、ビックバーンコースターはこれら二つの点から、別格とも言える落下感を感じることができるのだ。

三つ目は、Gのかかり方の急激な変化。ポイント2で述べたように、落下時には重力加速度を越える加速度で落下する。つまり乗っている人は、強烈なマイナスGを(一瞬だけ)感じる。(通常のコースターのドロップは、どんなにがんばってもゼロGなのだが)その直後、今度は谷間で車体は地面に対して水平になり、さらにキャメルバックを登る。この部分で今度は強烈なプラスGがかかる。このようなある意味「通常ではありえないGの変化」を一瞬で次々と体験するため、脳が状況を理解できず、強い印象を与えるのではないか。

では、同じようなコースターが他にできないのは、なぜか。それは、おそらくコースターの常識を越えた設計をしているから。よくコースターの醍醐味をキャメルバックなどの「マイナスG」に求めるが、実際はマイナスGにはならない。せいぜいゼロGだ。本当にマイナスGになったら、強烈な上向きの力がかかり、車体から飛び出してしまうなど人体に危険を伴う。

また、コースターの車輪は上下左右からレールを挟みこんでいるため通常ライドが脱線する事は無いのだが、下向きの力に比べて左右や上向きの力に対しては構造上どうしても弱くなってしまう。

アメリカのミレニアムフォースですら、あの90メートルもの高さを持ってしても落下角度は最大80度となっている。スリルを演出しようとして、無理なコース設計を行ったのではないか?

ビックバーンコースターと同じメーカーであるキャメルコースターについても、ほとんどバンクのついていない急カーブなど、かなり荒っぽい設計になっている。同じく以前富士急にあったムーンサルトスクランブルは、あまりのプラスGにムチウチになった人もいるらしい(僕は乗った事はないが)。確かにこれらの荒っぽさはスリルにもなるが・・・コースター設計者としてみるとどうなんだろう??

誤解を恐れず言ってしまえば、ビックバーンコースターの他では味わえないスリル・迫力は「設計レベルの低さによる怪我の功名」とでも言えるのかも知れない・・・。

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