※暗闇を走る室内コースターのため、画像はほとんどありません。
オープンの翌日とあってかなりの混雑を覚悟していたが、並んでいるのは10数人ほど。まだまだ施設自体の知名度が低いからだろうか。アトラクションのゲートには「品川プリンスステーション」と書いてあり、パネル式の時刻表示があったりと、雰囲気を盛り上げる作りになっている。
(ちなみに、この数日後の平日には建物自体への入場が1時間以上待ちの大混雑となっていた。早めに行ってよかった・・・)
セットはなかなか凝っている。雰囲気も良好。これは期待できるか?
乗客はまず、扉の並ぶ基地の内部のような空間に通される。すると目の前に制服を着たロボットが現れ、これから銀河鉄道999である惑星に向かうことを告げられる。そこに行けば、永遠の命、すなわち機械の体を手に入れることができるという。
機械の体になることを熱心に薦めるロボット達。こんなにぎこちない動きの体になりたくないな・・・。
話を聞いた後、右にある小部屋に移動。この部屋が飛行船となっており、銀河鉄道999まで向かうという設定。小部屋には上部にスクリーンがあり、CGによる映像が映し出される。内容は、以下のようなものだ。 999に向かう途中、ロボットの襲撃を受けて飛行船は墜落してしまう。そこに哲郎とめーテルが現れて助けてくれる。しかし、999は定刻どおりに出発し乗り遅れてしまう。そこに今度はキャプテンハーロックが現れ、自身の宇宙船で999まで連れて行ってくれる、というもの。
ファンにはたまらない内容なのかも知れないが、CGレベルははっきり言って低く、初代プレステゲームののCGデモ並み。しかも無駄に時間が長く、それを立ったまま上を見上げた体勢で鑑賞するため、疲れてしまう。アトラクションのボリュームアップのためなのだろうが、はっきり言って蛇足だ。部屋全体が映像に合わせて振動する最新装置を使っているらしいが、言われなければウーファーの振動と区別がつかない。(ちなみに、映像の途中で壁の向こうから悲鳴が聞こえるのが、ちょっと面白い。ああ、前の車両が出発したんだな、と判る。)
映像の中で宇宙船が999に到着すると、スクリーン下のゲートが開く。すると目の前には銀河鉄道999の車内を模したプラットフォームが。999の座席がコースターという設定らしく、そのようにカラーリングされている。しかしこれだと、発車したとき999の「椅子だけ」がすっ飛んで行く。なんとも奇妙な絵面ではないか。
写真は降車後のもの。プラットフォームが若干異なる。
荷物置き場は台車になっており、荷物はこちらに置くよう指示される。また係員によると「お好きな位置にご乗車ください」とのこと(オープン当時)。これは珍しい!自由に座って良いとわざわざアナウンスしているのは、僕が知っている限りここだけだ。だから、初めて来たお客さんは皆戸惑ってしまう。日本人にとっては、ディズニーのように明確に座席を指定されるのが常識になっているのだ。というわけで、皆が戸惑っている間に好きな位置へ座ってしまおう。急加速系コースターなので、最前席がオススメだ。
車体はインタミン製ということでLaQuaのサンダードルフィンに似ているが、一つの車両に席が二つだけ。連結部分が多い構造のため、異様なほど縦に長いライドとなっている。これにはちょっとびっくりした。きっと小さい半径のカーブやループを回る関係なのだろう。安全バーはサンダードルフィンと同様の腰当とシートベルトのみ。背もたれも小さい。
最前席の方だと、暗闇に向かって進んでいるレールが、目の前すぐで右に90度折れ曲がっているのが見える。これは初めて見るとぎょっとする。バンクもかなりのものだ。急加速系にも関わらず、いきなりあんなカーブがあるなんて・・・。いろいろな意味で前代未聞のコースターだ。 座席に座ってアナウンスを聞く。「これからみなさんは機械の体を手に入れるために999でなんとか星まで向かいます。いってらっしゃーい。」という感じのものだったような気がする。すると、突然ライド(銀河鉄道999の座席)が急加速。油断していると本当にビックリしてしまう。背もたれも低いので、頭が後ろに引っ張られ、ムチウチになりそうだ。(後日乗車したときは、待ち行列中や発車前に「このコースターは急加速し、垂直ループなど激しい動きを行い、体を痛める可能性があります。」としつこくアナウンスされていた。)
そして急加速の直後(最中?)車体は強烈なバンクと共に右へ90度カーブ。真っ暗闇へ突入。そしてすぐまた90度右へカーブ。そして真っ暗闇の中を垂直ループ!真っ暗闇なので、宙返りしているのはほとんど見えない。下向きにぐぐっとGがかかるので、「あ、今回転してる!?」と判るだけだ。この辺りの振り回し+垂直ループはなかなか強烈。先が見えない上に、普通の室内コースターではありえないような急カーブが連続するため、身構えていても体は翻弄されてしまう。振動や衝撃も結構ある。これでは確かに、人によっては体を痛めるかもしれない。
その後ライドは、星(天井につるされたダイオード)に囲まれた通路の中を大きく左に旋回する。アップダウンは全く無い。この大きな円の内側はイルカショーのプールになっているのだ。狭い敷地をうまく利用したレイアウトだが、はっきり言って単調。星空も、単純にダイオードがぶら下がっているだけで、あまりに殺風景。
イルカショープール(見えないが)の周りを一周すると、急に180度ターン。このとき小さなスクリーンがあり、(おそらく)999が宇宙を進んでいく様子が映し出されているが、小さい上に薄暗く、なんだかよく判らないまま、通り過ぎる。
そのまま、来た道を同じように戻っていく。当然星空も同じだ。二週目ということで暗闇に目が慣れ、往路のレールがぼんやりと見える。真っ黒に塗られた廊下の中を進んでいるようだ。相変わらず単調。しかもスピードが落ちているため、どんどんテンションは下がっていき、他の乗客の間ではおしゃべりが始まったりしている。隣の人と話ができるコースター。なんて画期的だ!
・・・などと考えているとどんどんコースターは減速。いや、失速という方が近いか?先の方に明かりが見えるが、そこに到着する前に停止してしまう。周りの人は皆、「え!?これで終わり?」とビックリ。
しばし闇の中で停車した後、ライドはゆっくり前進し、プラットフォームへ。スタート地点へ戻ってきた??イスカンダル(違うか)に到着したんじゃないの?などと考えるのも空しく、安全バーを外し荷物を受け取る。
良く見ると、出発したプラットフォームとはつくりが異なっている。二つのプラットフォームが縦に繋がっており、その間をカーテンで区切っているようだ。荷物入れが台車になってたのは、この二つのプラットフォーム間を移動させるためだったんだな、と気が付く。確かに、同じプラットフォームに戻ってきたんじゃ設定上おかしいもんな。しかし、・・・注意して見ないと別のプラットフォームだと気づかないぞ。
コースターとして見ると、最悪と言っても過言で無いデキ。インタミン製新型コースターということで期待しすぎたか。おそらく世界で増殖している小中型アクセラレーターコースター(Xelarator, Rita Queen of Speed, Kanonen)の部類に入るコースターなのだと思うが、あまりにコースレイアウトが悪すぎる。最後が尻すぼみになっていて、それまでの興奮や期待が全て反動となってしまい、大いにガッカリする。
設置場所を考えれば仕方が無いのかもしれないが、前半はむちゃくちゃに振り回し痛い思いをさせ、後半は「ぬぼーーーーっ」と走ってテンションを下げさせる。エアタイムやドロップは一箇所もない。垂直ループは真っ暗でなんだか良く判らないまま過ぎる。一体、何がやりたかったのだ?このコースターは。 さらに言えば、乗車時間があまりに短すぎ。値段高すぎ(1000円)。この内容でサンダードルフィンと同じ金額とは、信じられない。おまけにインタミン製の新型とは思えない振動の激しさ。としまえんの20年前のコークスクリューやシャトルループの方がよほど乗り心地がいい。
アトラクション全体としても、乗車口までのセットやプレショーが凝っている割に、コースターや、走り出してからの特殊効果がしょぼすぎる。乗車前に無駄なムービーを見せるよりも、視覚効果に凝った方がよかったのでは?
このコースター一回1000円でフリーパスは無し。一度に30人乗って、一時間で400人くらいか? 1日6時間動かしたとして2400人。そして一人1000円。1ヵ月で72,000,000円の売り上げ(!!!)。オープンからしばらくは入場待ちになるほど人気の施設らしいから、建設費などあっという間に回収できるのだろうか。
コースター以外の水族館を含む施設全体を見ても、価格や内容、運営方針など疑問を感じてしまう部分が多い。この施設、長い目でみるとプリンスホテルの評判を落とすのでは・・・?さらに言えば、スポンサーとなったEPSONにも影響が・・・。余計な心配だろうか。 |
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