まとめ
コースターファンの間でも、名機中の名機として名高いバンデット。その素晴らしさは、高さや速さといった判り易いスペックには現れてこない、「バランス」にあると思う。
ブーメランターン後の水平ループを除けば、メジャーなエレメントは無く、ひたすらアップダウンを繰り返すわけだが、その構成がきわめて絶妙で、最後まで緊張感が持続する。
特に後半に存在する谷へのドロップがよいアクセントになっており、コース後半にまで楽しみが分散しているのは大きい。
全体に渡ってほどよいスリルと気持ちのいいスピード感が持続するため、激しいコースターが苦手な人でも、楽しさを感じることができる間口の広いコースターと言える。(まあ、個人的には、ファーストドロップをもうちょっと激しくしてもいいのだが。)
前半の水平ループだけ強烈なプラスGがかかりバランスが悪いような気もするが、捉え方によってはスパイスのようなものとも言える。
そして、何度も触れたが周辺環境が最高だ。写真でも解ってもらえると思うが、個人的には花見の季節の「お花見バンデット」を強くおすすめしたい。
唯一、残念なのは、頑丈すぎるハーネスと大きな背もたれ。メーカーが倒産した現在では難しいのかもしれないが、もっと開放感のある車両になれば魅力はさらに増すだろう。
乗り心地は、作られた年代を考えれば極めて快適と言えるが、水平ループ時のGや長い走行距離の関係で、実はかなり体力を使うコースターだ。体力に自信の無い人は、しっかり休憩をはさんで楽しもう。
バンデットの成功を機に、メーカーであるトーゴはメガコースターの製造に注力していく。その結果として、八景島のサーフコースターや、富士急のFUJIYAMA、ラスベガスのマンハッタン・エキスプレスといった有名なメガコースターが誕生し、トーゴは世界的なコースターメーカーとしての地位を手に入れることになる。
折りしも時代はバブルの真っ只中。その最良と思えた選択が会社の未来にどのような結末をもたらすか、このときは誰も想像できなかったに違いない。
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