とちのきファミリーランドは、観覧車といくつかのアトラクションがあるだけのローカル遊園地だ。入園無料でアトラクションの料金も安いため、小さな子供の遊び場として利用されている。僕も幼い頃よく連れて行ってもらったものだ。今回訪れたのは、真冬の夕方近くだったので、嫌でも場末の寂れた雰囲気が漂っていた。
さて、ここにあるローラーコースター「ジェットコースター」。そのものずばりのシンプルなネーミングだ。決して大きなコースターではないが、パークの規模を考えれば、それなりのアトラクションといえる。数名の小学生たちがひたすら連続乗りをしていた。
少年たちは大騒ぎだ。これだけ喜んで乗車してくれる客がいれば、捨てたものではないだろう。
プラットフォームは池のそばにある。特筆すべきところはない。ライドも至って平凡な形。シートベルトがあるだけだ。ひとつの車両に二列の座席があるが、後ろの席は異様に狭いので注意。身長178センチある自分は、足が納まりきらなかった。
巻き上げは相当ゆっくりしたもの。池を眺めつつゆっくり上昇していく。頂上では、これまたゆっくり180度旋回する。そして池に向かってファーストドロップとなる。
想像していたよりもなかなかの角度で落ちていく。スピードもそこそこある。
すぐさま上昇し、池の上空をのんびり進んでいく。一度だけ、軽いくぼみを越え、右に旋回していく。
そしてセカンドドロップ。こちらは緩やかな坂を下っていくような感じだ。乗り心地は悪くない。のんびり背もたれに体を預け、冬の夕暮れを眺める。
上昇し、一回転弱ほど旋回する。スピードは遅く、遠心力がかかるほどではない。
旋回が終わるとドロップ。ここのドロップちょっと珍しい。直前の旋回部分で若干のバンクがついているのだが、バンクがついたままドロップするのだ。ドロップ自体は直線。だから、体が横に傾いたままの妙なドロップになる。
そして上昇し、ブレーキ。終了となる。
二回目に乗車したとき、少年たちが話しかけてきた。「後ろが一番面白いから」と。その言葉に甘えて、最後尾に乗車してみる。
そして味わった最後尾でのファーストドロップ。
「うおおおおっ」
これは驚きのドロップだ!一瞬引き込まれ感を感じた直後、今度は体が空中へ投げ出されそう。前方の席とは比べ物にならない迫力だ。規模は全く違うが、タイタンのファーストドロップに似たフィーリングを感じる。
「コースターは最後尾へ乗れ」という鉄則は、ひょっとしたら古いコースターの方が当てはまるのだろうか。やはりコースターは乗ってみないと解らない。
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