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ええじゃないか 富士急ハイランド
■ レポート (2006/7/7 乗車)
はじめに

世界一のコースター大国といえば、アメリカだ。しかし、日本が実は世界No2のコースター大国だということをご存知だろうか? ギネスコースターとしてあまりにも有名なFUJIYAMAを筆頭に、世界最大のコースター「スチールドランゴン2000」や、かつて世界最高速を誇った「ドドンパ」、世界最大級の木製コースター「ホワイトサイクロン」など、名だたるコースターが日本にはある。

しかし、最近日本の遊園地事情はお寒い限りだ。レジャーが多様化する昨今、遊園地でコースターに乗るということが、ある意味時代遅れ的な雰囲気さえある。しかし、本場アメリカの遊園地は今でも素晴らしい進化を遂げていて、その差は開くばかりだ。

コースターについても、日本は取り残されつつある。アメリカでは、ギネスを次々に塗り替えるコースターが登場しただけでなく、爽快感を重視したタイプや、これまで考えられなかったような動きをするトリッキーなタイプなど様々なバリエーションのコースターを生み出した。特に、全く新しいコンセプトに基づいた新世代コースター「エックス」は、世界中のコースターファンに衝撃を与えた。

ドドンパ以降、日本で導入されたメガコースターはサンダードルフィンだけ。ギネス記録もアメリカのコースターに奪われ、もはや日本でコースターおよび絶叫マシンが盛り上がることは無いかもしれないと思っていた。

ところが、不況を脱したとささやかれている2006年、各地の遊園地では大規模な投資が戻ってきた。これまでのブランクを埋めるがごとく、いくつもの最新絶叫マシンが登場しつつある。

そのような中、今日本で最も注目されている最新コースター「ええじゃないか」が誕生したのである。オープンは7/19(水)。かつて世界中に衝撃を与えた「エックス」。それを凌駕するコースターとなるために設計された「ええじゃないか」。この日は、国内におけるコースターの革命的な日になるかもしれない。

前置きが長くなったが、今回富士急からプレスプレビューの招待をいただき、一足先に「ええじゃないか」に搭乗することができた。ここでは、その初乗車についてレポートする。



ついに見えてきた ええじゃないか。バスの中にどよめきが起こる。


大ホールで説明会。壇上にいるのは、富士急行社長の堀内さん。
みずからエックスに乗車するほどのコースターファン。


初めて目の前に見るええじゃないか。
ファーストドロップとレイブンターンが強烈なインパクト。

7月7日 朝

新宿に集合したプレス関係者と共にバスに乗り込む。バスは1時間半ほど走り、富士吉田市内へ入った。そして、ついに真正面に見えてきた巨大な赤いレール。車内が突然色めきたつ。

でかい。とにかくでかい。高速道路の真正面に位置し、しかも赤と黒のインパクトある配色のせいで、圧倒的な存在感だ。FUJIYAMAも大きいが、高速道路からの眺めという点では、圧倒的にええじゃないかが上だ。ライドはすでに動いている。点検を行っているのだろうか? 興奮してきた。今すぐにでも乗りたい。

富士急のホテルに到着。食事、大ホールでの説明会を終え、早速ええじゃないかの試乗へと向かう。今回の参加者はマスコミ関係がほとんどを占める。つまり、それほど絶叫マシンが得意ではない人も多いはずだ。説明会では、巨大なスクリーンにええじゃないかの走行中の映像が映し出されたが、それを見て早くも絶叫している人が沢山いた。それほどインパクトのあるコースターなのだ。

説明会の後、大勢とマスコミ関係者とともに園内へ向かう。FUJIYAMA、ドドンパの間を進んでいくと・・・見えた。巨大な赤いレール。これまでのコースターには無かった、異様なまでに巨大な垂直ループとほとんど垂直のファーストドロップ。これが、国内初、世界で2機目の四次元コースター「ええじゃないか」だ。



入り口の鳥居。富士急らしいゆるいセンスだ。
一般のお客さんは、残念ながらここから立ち入り禁止。


天辺が凹んだ独特な形のドロップ。
見方によっては富士山のような気がしなくもない。


巻き上げ下から入り口方向を望む。
こんな中なら、待ち時間も気にならない?


巨大なプラットフォームの建物。唐草模様が胸を打つ。

巨大な赤いレール

四次元コースターについては、”ええじゃないかとは?”を参照してもらいたいが、一言で言えば座席が縦回転するコースターである。

米国のArrowDynamics社が開発した最新コースターである。Arrow社は、マジックマウンテンの「エックス」を設置した後、買収された。買収先はドドンパのメーカーであるS&S Power社(現S&S Arrow社)。

今回のええじゃないかの建設に当たっては、設計・ライドの製作はS&S Arrow社、レールの製作は日本のサノヤス・ヒシノ明昌社が行ったとのこと。

サノヤスは国内のコースター製作で実績が最も多い企業だが、一般にはパレットタウンの大観覧車などの製作で有名だ。サノヤスがレールを作成することで精度があがり、エックスと比べてスムーズな乗り心地が実現できたとのこと。これは楽しみだ。

ええじゃないかの入り口には鳥居がある。ええじゃないかは和風・狂乱というようなイメージで考えられているようだが、同時にコースターの「神様」でもある。つまり、赤いレールは鳥居や神殿の朱であり、入り口から続く道は参道、プラットフォームは拝殿。そしてライドがご神体ということなのだ。プラットフォームの天井には、守り神の龍が描かれている。

参道の両脇には、巨大なレールがうねっている。混雑時には、ここまで待ち行列が伸びるのだろうか? 走っているライドの様子が眺められるのは、コースターファンにとっては嬉しい心配りだ。

周りにはスピーカーがあり、「ええじゃないか音頭」がエンドレスで流れている。お祭りのノリだ。そして、プラットフォームの建物は巨大な唐草模様。なんという脱力感。さすが富士急、誰にもマネのできないセンスに脱帽。



案内板。55歳以上は乗れないとこと。
トシをとってもコースターには乗りたいのだが・・・。


左のルートから入ったところ。ときおり、轟音とともにライドがかすめていく。


そして拝殿に到着。巨大な緑色のライド(ご神体)が目を引く。

え天井には、ええじゃないかの守護神の龍。


極めて頑強なハーネス。しかし、徹底的に締め付けることをおすすめする。


ライドの端にはこのような機械が。なんでも、ハーネスのロックを制御する機械らしい。
つまり、これが命綱。ときおり調子が悪くなり、強烈に不安を誘う。


車輪のアップ。大きなものがメインホイール。
手前の小さな車輪は、サブレールによって上下し、ライドの回転をつかさどるためのものだ。


こちらは青い車両。緑と青の二台がスタンバイしている。
ちなみに、イメージイラストにあった黄色車両は見当たらなかった。

プラットフォームへ

建物に入ると、いきなり待ち行列が二手に分かれる。エックスと同様、プラットフォームが左右に分かれているため、ここで選択する形になる。右に行くと、走っているライドをゆっくり眺められる。左は裏にまわる形になるため日陰で涼しいだろう。一瞬だが、激走するライドを目の前で見ることができる。

プラットフォームに入ると、目の前に巨大なライドが鎮座している。普通のコースターでは考えられない大きさ。色は青と緑の二種類ある。よく見ると、エックスとは異なる点がいくつか見受けられる。

まず、ええじゃないかは4人車両×5台の構成になっていおり、エックスの7台と比べて小さい。これは効率や安全性、敷地面積を考慮した結果だろうか? 

また、座席の間に電子基盤が入ったケースが付いている。何かのセンサーだろうか。ハーネスや座席回転の安全性にかかわってくる装置なのかもしれない。

ライドの大まかなつくりは一緒だが、機械を覆うカバーが小さい気がする。その分機械むき出しといった印象だ。
カバーも、エックスのように派手なカラーリングでは無く、青もしくは緑の単色なので地味なイメージ。上に突き出した垂直翼(ラックギアのケース)も単なる「棒」になっている。エックスでは、その名の通り「X」の文字をイメージした形に作られていた。

正直なところ、全体的にエックスより「かっこ悪く」なってしまっているのが残念だ。

ここで待ち行列は、一回転分の人数ごとに仕切られたエリアに移動する。この中に荷物を置き、自分たちの番を待つことになる。列はこのエリアに入った段階で崩れてしまい座席の争奪戦が心配されるが大丈夫なのだろうか。本格オープン時が少し心配である。ちなみにエックスでは、乗りたい席ごとにフォーク方に待ち行列が分かれていた。

乗降車システムは、エックスと比べて大きく改善されている。エックスでは、乗車ホームと降車ホームが分かれていて、乗り降りの際には座席回転が必要だった。仰向けで帰ってきた座席をゆっくり回転させ、降車し、また座席をゆっくり回転させてから乗車ホームへ移動、また座席回転、そして乗車、という流れだった。また、ライドが大きく係員のチェックにも時間がかかり、一回転に10分前後かかっていた。

ええじゃないかでは乗り降りの際の座席回転が無い。その代わり、床が上下するようになっている。また、座席の数が少ないのでチェックにも時間がかからない。それでも、今回は初めての大規模プレビューということで、手間取っている感はあった。ハーネスのロックシステムの点検が頻繁に入り、15分ほど待たされることも多かった。おそらく最短では5〜6分ほどで一回転できるのだと思う。

しかし、全体的は回転率ではエックスとさほど変わらないと思う。座席数が減った上に降車ホームが無いため二台平行運転の際には効率の悪さが際立つ可能性があるからだ。

ひょっとして、ライドが二台しかないということは、1台は予備とすると、常時1台運転しか考えていない・・・・なんてことは想像したくない。エックスの回転率といえば、ドドンパ以上の効率の悪さ。この辺は、なんとか改善を願いたい。そうでないと、夏休み中は恐ろしいことになってしまうのは明らかだ。

※オープン後、再度訪れたときは二台運転で、係員の手際もよくなりかなり効率化されていた。わずか約3分で一回転していたのには驚き! 車体のトラブルで、時々持ち時間が延びていたが、順調に動けばかなり効率的に人をさばけるようだ。

そんなことを考えつつ、ついに乗車のときがやってきた。



準備完了!すると・・・


床が下がっていく。リニアゲイルやF2などのインバーテッドコースターのようだ。


拍手とともに見送られる。さあ、異次元体験に向けてスタートだ。


突然座席が回転し、逆さまに。


傍から見ていると、ちょっと笑える光景。


ぐんぐん高度が上がる。園内は見えず、妙に生活観のある風景だけが目に入る。
カリフォルニアのエックスとは似ても似つかない雰囲気。


ついに来た巻上げ頂上。おもむろに回転を始めるライド。
そして・・・・。

巻き上げ

今回は公認で乗り撮り可能なので、一番前の席を狙う。ちなみにええじゃないかは最初後ろ向きに進んでいく。つまり、紛らわしいが一見最後尾と見える席が最前席になるのだ。要注意。

ハーネスに腕を通し、高さを調節する。立ち乗りコースターのような複雑なハーネス。自分も含め、スリルを味わうためにコースターのハーネスをゆるゆるにする人がいるが、ええじゃないかでは厳禁だ。これでもかというくらい、ガチガチに密着させておこう。その方が、ライドと一体化した振り回され感を味わうことができる。ゆるゆるにすると、シェイクされて体中にアザができるだろう。

準備が出来ると係員によるアナウンス。「それでは出発するけど〜、ええかな〜?」「ええじゃないかっ!」 ゆるい、ゆるすぎる。いいのか、世界最高のスリルマシンがこんなので。

そんなことを思いつつ、ライドは後ろ向きに発進。空がまぶしい。

ゆっくりとUターンして巻上げに入るのだが、なんとここで突然後ろに回転する座席。頭に血が上る。ちょっとした小技だが、悪くない。

そして、巻き上げへ。後ろ向きにゆっくり上っていく。目の前には見慣れた日本の住宅街。そして、山梨の山々。残念ながら富士山は真後ろに位置するため眺めることはできない。

今日バスに乗って向かう途中、バスガイドさんが「ええじゃないかは富士山に向かって登っていくように作られています。晴れていれば見事な眺めですよ。」とおっしゃっていたが、残念ながら首が180度回らない限り富士山を眺めるのは不可能だ。まあ、普通は後ろ向きの登っていくコースターなんて想像できない。

さあ、ついに始まった。国内初の4次元コースターを先行体験だ。

初めて4次元コースター、つまりエックスを体験したのは昨年のGW。あの時は、灼熱のカリフォルニア。見渡す限りのオレンジ色が広がる台地と絵の具をそのまま塗りつけたような青空の中での4次元体験だった。

現地の人の興奮、熱気。そんなものを感じつつ、これまでで最高のコースター体験となったエックスへの乗車。今でもはっきりと思い出せる衝撃と興奮。その再来となるのだろうか。

地面はどんどん遠くなる。体はガッチリ固められ、後ろを振り返ることは不可能。一体どこまで登るのか検討も付かない。

・・・と、巻き上げの音に変化が感じられた。頂上だ。

きたぞ、きたぞ。いよいよだ。早くも叫びたい気持ちをぐっとこらえてハーネスを握り締める。なんだか笑い出したい気分だ。緊張感すら快感に感じてしまう。

そして、ついに異次元体験が、はじまった。



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