乗車待ち
ミレニアムフォース。その名を初めて聞いたのは、いつのことだったか。初めてLaQuaのサンダードルフィンに乗車し、その圧倒的なファーストドロップに文字通り腰を抜かした。と同時にその乗り心地の良さに驚き、コースターに興味を持った。世界にはどんなコースターがあるんだろうと調べているうちに見つけたのが、このミレニアムフォースだった。
サンダードルフィンを大きく上回る高さ94メートル、落差91mのファーストドロップ。ビルに囲まれのびのびと疾走できないサンダードルフィンとは異なり、広い敷地を十分に使ったコースレイアウト。これが、サンダードルフィンの完成形なのか。いつか必ず乗りに行ってやると決めた。
そしてとうとうやってきたシダーポイント。ここには世界最大級のコースターが二つ存在する。ひとつが、2005年夏前までギネスホルダーだったトップ・スリル・ドラッグスター。もうひとつが、いわゆる通常の巻き上げ式コースターとしては事実上世界一のミレニアムフォース。さらに、世界で始めて高さ200フィート(約60メートル)の壁を破ったマグナムXL-200を始めとする13以上のコースター群。これらをして、ここシダーポイントは絶叫界の聖地として名高いのだ。
シダーポイントは、五大湖のひとつエリー湖に長く突き出した半島部分全体に及んでおり、ミレニアムフォースはその西側の湖岸沿いにそびえ立っている。湖とは言え、とても大きく海のようだ。通常の入園ゲートからは一番奥まったところにあるため、朝一乗車を目指す人はかなり大変な思いをするだろう。
さて、オフィシャルホテル宿泊のメリットを生かし、一般入場者より30分ほど早く列に並ぶ事ができた。3両編成で運行しており、巻き上げスピードも速いため、回転はかなりいい。列はぐんぐん進む。優先入場と言っても、動いているアトラクションは目玉の二つだけであり、ミレニアムフォースにも当然それなりの列ができている。時折、待ち行列を掠めるようにライドがかっとんで行く。なるほど、レールの作りもライドも、サンダードルフィンとほとんど同じのようだ。
待ち行列には日よけや扇風機、さらにはDJブースまである。DJブース!夏の夜は相当盛り上がるのだろう。こういうところへのこだわりが、日本との違いを感じさせる。この日はオフシーズンのためかDJはいなかったが、周辺にはガンガンにダンスミュージックがかかっており、興奮は高まっていく。
20分ほど待って、ついにプラットフォームへの階段を上って行く。目の前には、一周して帰ってきた人たちが降車を待ている。とても意外な事にみな極めて冷静だ。澄ました顔をして、はしゃぐことなくライドから降りて去っていく。マジックマウンテンで乗ったXとはえらい違いだ。
そこで気が付く。今日は、今年初めてシダーポイントがオープンする日。そう、冬の厳しいシダーポイントは5月から10月までの9ヶ月間しか営業していないのだ。つまり、オープン前日からオフィシャルホテルに泊まって朝一ミレニアムフォースに乗る人たち。本物の「シダーポイントエンスージア」達に違いない。
気が付けば、みなが着ているTシャツはミレニアムフォースやドラッグスターのデザインばかり。・・・なるほど。スゴイところに来てしまった。
※昼になり一般客が多くなってからは、みなヒートアップしていた。やはり朝だけ特別だったようだ。 |